意外と知らない? 契約書に記載された管轄裁判所の専属的合意管轄裁判所について

賃貸借契約書に記載のある「専属的合意管轄裁判所」って何だろう?そう思われた事ないですか?
契約書の条文をみると、第〇〇条(管轄裁判所)「本契約から生ずる権利義務について紛争が生じたときは、本物件所在地の地方裁判所または簡易裁判所を専属的合意管轄裁判所にする」みたいな文言を見たことないでしょうか。
契約の当事者間で将来トラブルが生じた場合の為に、「この特定の裁判所のみで裁判を行う」とあらかじめ合意して定めた裁判所のことです。
ここで良く確認しておきたいのは、契約書の文言に、「専属的合意管轄裁判所」(特定の裁判所に限定する)と記載があるか?もしくは「合意管轄裁判所」とだけ記載されているかです。
2つの「合意管轄」の違いは?
1、専属的合意(特定の裁判所に限定する)
「〇〇地方裁判所を管轄裁判所とする」などと記載し、その裁判所以外での訴訟を認めない方式。
2、「付加的合意(選択肢を増やす)
本来法律で認められている裁判所に加えて、「〇〇地方裁判所でも裁判ができる」と選択肢を増やす方式。
賃貸借契約(アパートやマンションの賃貸など)においても、家賃滞
納や建物の明け渡し、敷金返還といったトラブルに備えて、専属的合意管轄裁判所を定めるのが実務上の基本です。
不動産賃貸業の観点から見ると、以下のような特徴と実務上のセオリーがあります。賃貸借契約書では、貸主(または管理会社)の本店所在地ではなく、「賃貸物件の所在地」を管轄する裁判所を指定するのが最も一般的かつ実用的です。
賃貸借契約における「管轄裁判所」のセオリーは以下の通りです。
強制執行(明け渡し)を見据えた対応
万が一、家賃滞納などで「建物明渡訴訟」を起こして勝訴しても、借主が居座った場合は裁判所の執行官による強制執行が必要になります。この強制執行は、必ず物件の所在地を管轄する地方裁判所(執行裁判所)に申し立てなければなりません。そのため、最初から裁判自体も物件の所在地で行うように指定しておくのが最も合理的です。
退去後の訴訟リスクの軽減
借主が遠方に引っ越した後に「敷金を返してほしい」と訴えを起こすケースがあります。専属的合意管轄条項がないと、借主の転居先の裁判所で裁判を起こされるリスク(貸主側が遠方の裁判所まで出向くコスト)がありますが、条文、特約などを結んでおくことで、これを防ぐことができます。
【まとめ】
上記のリスクを回避するために第一審の専属的合意管轄裁判所と記載しておく
この記載であれば、仮に入居者が遠方に引っ越した後のトラブルであっても、また家賃滞納による建物明渡訴訟からの強制執行への移行を考える場合でも、すべて「物件所在地の裁判所」で完結させることができ、貸主・管理会社側の負担を最小限に抑えることができます。契約を締結する前に、上記の文言を確認してみましょう。



