家賃滞納で連絡が取れない!大家が取るべき「法的に安全」な対応手順とチェックリスト
無断で又貸しされたら契約解除できる?賃貸オーナーが知っておきたい無断転貸の対応

賃貸物件を入居者が無断で家族・知人・第三者へ又貸ししていたら、すぐ契約解除できるのでしょうか。無断転貸の基本ルール、同居との違い、契約解除を判断するポイント、オーナーが取るべき対応を分かりやすく解説します。
「契約者とは別の人が住んでいる」これって又貸し?
賃貸物件を管理していると、
「契約者とは違う人がずっと出入りしている」
「契約者本人は住んでいないようだ」
「別の人から家賃を取って住ませているらしい」
といったケースが出てくることがあります。
このような場合に問題になるのが、**無断転貸、いわゆる「又貸し」**です。
国土交通省の賃貸住宅標準契約書でも、貸主の書面による承諾なく、物件の全部または一部について賃借権を譲渡したり転貸したりすることを禁止する内容が示されています。
ただし、
「契約者以外の人が住んでいる=すべて無断転貸」
とは限りません。
ここを間違えると、オーナー側が不適切な対応をしてしまうことがあります。
そもそも「転貸」とは?
簡単にいうと、
借りている部屋を、さらに第三者へ貸すこと
です。
たとえば、
オーナー
↓
Aさんに賃貸
↓
AさんがBさんへ又貸し
という状態です。
AさんがBさんから家賃を受け取っているケースだけでなく、実態として第三者へ物件の使用を任せている場合も問題になることがあります。
賃貸借契約は、
「誰に物件を貸すのか」
も重要な契約条件です。
知らない第三者へ自由に引き継がれてしまうと、オーナーとしては入居審査をした意味がなくなってしまいます。
家族や恋人が住み始めたら無断転貸?
ここは慎重な判断が必要です。
たとえば、
- 結婚して配偶者が同居した
- 子どもが一緒に住むようになった
- 恋人との同居を始めた
というだけで、直ちに「又貸し」となるわけではありません。
一方で、契約書に、
- 入居者追加は事前承諾が必要
- 入居者変更時は届出が必要
- 単身入居限定
などの条件があれば、契約違反になる可能性があります。
大切なのは、
「誰かが増えた」だけで判断せず、契約者本人が住んでいるのか、第三者へ実質的に使用を任せているのか
を確認することです。
無断転貸ならすぐ契約解除できる?
民法上、賃借人は原則として賃貸人の承諾なく賃借権を譲渡したり、賃借物を転貸したりすることはできません。
ただし実際の契約解除では、単純に
「無断転貸があった=必ず解除できる」
とは限らない点に注意が必要です。
裁判例では、形式的には無断転貸に当たる場合でも、賃貸人に対する背信行為と認めるほどではない特別な事情がある場合には、解除が認められないことがあるという考え方が示されています。
つまり、
無断転貸の事実だけでなく、オーナーと入居者の信頼関係を壊す程度の行為だったか
も重要になります。
契約解除を検討しやすいケース
たとえば、次のような状況では問題が大きくなります。
- 契約者本人が完全に退去している
- 知らない第三者だけが住んでいる
- 又貸しで利益を得ている
- 民泊のように不特定多数へ貸している
- 何度注意しても改善しない
- 入居者について虚偽の説明をしている
- 無断転貸によって近隣トラブルが起きている
こうしたケースでは、単なる届出忘れとは事情が異なります。
Airbnbなどの「民泊利用」は特に注意
最近は、普通の賃貸住宅を借りて、その部屋を宿泊サイトなどで第三者へ貸し出すケースもあります。
契約上認めていないにもかかわらず、
- 不特定多数が出入りする
- 鍵を第三者へ渡す
- 宿泊料を受け取る
といった使い方をしているのであれば、通常の居住目的とは大きく異なります。
さらに、
- 騒音
- ゴミ出し
- 共用部分の利用
- オートロックのセキュリティ
など、他の入居者へ影響が出る可能性もあります。
発覚した場合は早めに状況を確認した方がよいでしょう。
まずは「事実確認」が重要
契約者以外の人物が住んでいるように見えても、いきなり、
「無断転貸だから退去してください」
と通知するのはおすすめできません。
まず確認したいのは、
- 契約者本人は現在住んでいるのか
- 現在住んでいる人物は誰なのか
- 契約者との関係は何か
- いつから住んでいるのか
- 金銭のやり取りがあるのか
- 一時的な滞在なのか
- 契約書ではどのように定めているか
です。
この事実関係によって、その後の対応が変わります。
「名義だけ貸している」ケースにも注意
意外とあるのが、
実際に住む人とは別の人が契約者になっているケース
です。
たとえば、
「審査に通らないので親名義で契約した」
「知人名義で契約して実際には別の人が住んでいる」
といったケースです。
契約当初から実際の入居者を偽っていた場合は、単なる途中からの同居とは問題の性質が違います。
入居申込書、本人確認書類、契約書、実際の居住者を照合して確認する必要があります。
勝手に鍵を交換してはいけない
無断転貸が明らかになったとしても、
- 鍵を勝手に交換する
- 室内へ無断で入る
- 荷物を撤去する
- 電気や水道を止める
といった方法で強制的に退去させるのは避ける必要があります。
無断転貸であっても、適切な手続きを踏んで対応することが重要です。
契約解除や明渡しが必要なケースでは、管理会社や弁護士などと相談しながら進めた方が安全です。
契約書に「無断転貸禁止」があるか確認する
トラブルが起きてから慌てないためには、契約時のルールを明確にしておくことが重要です。
国土交通省の賃貸住宅標準契約書でも、賃借権の譲渡・転貸について貸主の書面による承諾を求める形が採用されています。
契約書では、
- 無断転貸の禁止
- 入居者追加時の届出
- 契約者変更時の手続き
- 民泊・宿泊利用の禁止
- 法人契約時の入居者変更ルール
などを明確にしておくと、後のトラブルを減らしやすくなります。
法人契約は「入居者変更」と転貸を混同しない
法人契約では、契約者が会社で、実際に住むのは社員というケースがあります。
この場合、契約時から社員の入居を前提としていれば、一般的な個人契約の又貸しとは事情が異なります。
ただし、
「入居者を変更するときは事前に届け出る」
という条件になっていることもあります。
法人契約では特に、
- 誰が入居できるのか
- 社員変更は自由なのか
- 入居者変更届が必要か
を契約時に決めておくことが重要です。
オーナーが管理会社に確認したいこと
無断転貸の疑いがある場合は、管理会社に次の点を確認してみてください。
- 実際の居住者は誰か
- 契約者本人は居住しているか
- 契約書上の入居者は誰か
- 入居者変更届は出ているか
- 金銭を取って又貸ししている可能性はあるか
- 契約違反に当たるのか
- 是正要求で対応するのか
- 契約解除まで検討すべき状況なのか
重要なのは、疑いだけで判断しないことです。
まとめ|無断転貸は「誰が住んでいるか」だけで判断しない
無断転貸は、賃貸オーナーにとって見過ごせない契約上の問題です。
ただし、
「契約者以外が住んでいる=即契約解除」
と単純に判断するものでもありません。
押さえておきたいのは、
- 無断転貸は原則として認められていない
- 同居人の追加と又貸しは別に考える
- 実際の居住状況を確認する
- 契約解除では信頼関係も重要になる
- 民泊や第三者への継続的な又貸しは早めに対応する
- 強制的に鍵交換や荷物撤去をしない
- 契約書で入居者変更や転貸のルールを明確にしておく
という点です。
無断転貸が疑われる場合は、いきなり解除を通知するのではなく、まず事実関係と契約内容を整理することが大切です。
「誰に貸しているのか」をきちんと管理することも、賃貸経営の重要なリスク管理の一つです。



